小さな焼肉店で焼肉弁当を月間822個116万円販売した成功事例
2020年8月OPENのA5雌牛専門焼肉店「肉の天満屋」での焼肉弁当販売が好調です。
昨年秋から販売スタートした焼肉弁当が2021年5月販売個数実績822個116万円という数字を達成しました。
販売数(個) | 売上(円) | 平均単価(円) | |
2020年12月 | 59 | 108,741 | 1,843 |
2021年1月 | 315 | 401,176 | 1,274 |
2021年2月 | 374 | 535,266 | 1,431 |
2021年3月 | 415 | 493,457 | 1,189 |
2021年4月 | 638 | 873,606 | 1,369 |
2021年5月 | 822 | 1,161,361 | 1,413 |
1.商圏分析によるメニュー構成
焼肉弁当販売を始める上で需要な事は、自店商圏分析による客層分析です。どのようなお客様に購入して頂ける可能性が高いのか。それにより弁当メニュー構成を考える必要があります。弁当販売は店内飲食集客よりも目的来店性が低く、足元商圏の客層を視る必要がありますので駅前・繁華街立地であれば自店から半径300m圏(徒歩3~4分)以内の客層分析が好ましいでしょう。
■定住人口が多い◎
→商品力ありきのメニュー開発。予算帯が上がる為、1000円以上の商品構成を中心に品揃え。
■就業人口が多い〇
→サラリーマン・OLが多い為、価格ありきのメニュー構成。売れ筋は1000円未満の商品。会議用・接待用弁当としての高価格帯商品の品揃えも。
■商業人口が多い△
→買い物客が多い為、一品メニューの品揃えも検討。
肉の天満屋では圧倒的に定住人口が多い為、最下限価格A5薄切りカルビ弁当999円から1500円を品揃えのボリュームゾーンとして設定しました。
2.客単価を上げ、原価コントロールしやすい名物商品開発
肉の天満屋で圧倒的出品数を誇る商品が1399円(税抜)の天満屋ダブル弁当です。お好きな肉を選べるというプリフィックスを取り入れる事で肉の注文を分散させ、原価コントロールを図るというものです。ちなみに一番高い肉を注文された場合の原価がF44.2%、一番低い肉を注文された場合の原価がF34.1%となり、天満屋ダブル弁当全体で視るとF40%という弁当においては非常に優秀な原価率となっているのです。課題は2つの肉を焼き上げるオペレーションの煩雑さですが、他店ではこれを理由に実践していない現状であり、差別化しにくい弁当販売においてはここをチカラの入れどころと考え実践する事がポイントになるのです。
3.リピーターづくりの為の商品開発
店内飲食よりも購買頻度の高い弁当販売はリピーターづくりが非常に重要となります。商圏により適正なメニューの価格帯は変わってきますが、それよりも大事な事はまた食べたいと思わせる“商品力”となります。
焼き上げ1時間でも美味しい部位のみ販売提供
肉の天満屋では、全ての部位を焼き上げ1時間後試食し、合格したものしか販売していません。なので、比較的硬さや若干の臭みが気になる可能性のある並商材は販売していないのです。
弁当に合う米選び
肉の天満屋では、注文が入ってから炊き上げる土鍋銀シャリを名物にしていますが、こちらで使用する米の品種と弁当に使用する米の品種を変えて使用しているのです。また、水加減、火加減も弁当に合う最適なものにするべく試作を繰り返しているのです。
タレがなじむ焼き方
また、肉の焼き方に関してもこだわりをもっています。冷めた状態で食べる事が想定されるお弁当においては、商品力を語る上ではタレの濃さが欠かせません。ロースターで焼くよりも、よりタレがなじみやすくなるようフライパンで一品一品焼き上げる工夫もしています。
弁当専門店に劣らないディテールにこだわる
コロナによる外食控えもあり空前の中食ブームです。数多くある専門店の中から選ばれるようになるには、専門店に負けないディテールが必要となります。自宅で食べるだけであればそこまで見られる事は少ないかもしれませんが、企業の会議用、友人とのお弁当会食なども考えると、商品を取り巻く全てにこだる必要があるでしょう。飲食店がその場の売上しのぎの為に片手間でやっている感が出ているようでは、あらゆる弁当を食べるシチュエーションには応えられないでしょう。
- 包装紙(おしぼり、箸袋)
- 容器(店名入りなら更に◎)
- オリジナル袋(店名入りなら更に◎)
- タレ(個食タイプ)
肉の天満屋では、緊急事態宣言化で店内飲食売上が低迷する中でもお弁当販売実績を毎月伸ばしています。コロナ禍だけの売上づくりという発想では無く、中食事業を付加し、成長させていくという本気度が無ければ持続的な弁当販売は困難となるでしょう。本気度とはどれだけコストをかけ、手間をかけ、意識をかけるかという事であり、どうしてもサイドビジネスとしか視れない外食業界の中では優位なポジションを取りやすい事業なのです。