和牛友バラ各部位のカット基準と特徴
今回は黒毛和牛A5ランクの『友バラ』について詳しく記述していきます。
①『友バラ』とは?
あばら部分の『外バラ』と『中バラ』を合わせて『友バラ』と呼ばれ、焼肉屋さんでは『並カルビ』や『上カルビ』などで販売される商材が取れる部位です。
大きく9種類の部位に分割でき基本的に脂が良く乗り焼肉用のカットまで加工すると、6割ほどは使用できません。
その友バラから取れる部位の特徴や直営店の『肉の天満屋』で定めているカット基準を紹介していきます。
②各部位の特徴とカット基準
◆カイノミ
友バラの中では最も柔らかく脂と赤身のバランスも良い部位で繊維がほぐれやすい為しっかりとたれに揉みこむ場合は薄く切りすぎないように注意が必要です。
水分の量や密度が高くカットする際に1g~2gほど大きくなってしまうことが多い為気持ち小さめにカットすると定めているカット基準に合ってくるでしょう。
肉の天満屋の基準は薄くなりすぎないように1cmほどのカットで定めています。
◆タテバラ
友バラの中では最も脂が多い部位で太い血管がありその血管に沿うように包丁を入れて柵取りすると歩留まりも良くなりきれいに柵取り出来ます。
脂が多い部位なためカットしながら1枚1枚脂の比率を確認しながら商品化していかなければ脂ばかりの商品になりクレームにつながるので気を付けましょう。
カットの基準は7~8㎜で定めています。
◆トップバラ
きれいなサシが入りこれぞ上カルビといった部位です。
繊維が一定の流れではないため柵取りの仕方が歩留に影響します。
牛の個体が大きい時は横割り、牛の個体が小さい時は縦割りにすると歩留まりも良くきれいなカットができるでしょう。
カット基準は7~8㎜で定めています。
◆インサイドスカート
あばら骨の内側を覆うように位置する部位でバラの中では比較的柔らかいが繊維が太い為逆目にカットすると少し硬くなるのでしっかり繊維を断ち切るようにカットするのがおすすめです。
わざと繊維に沿ってカットしているお店もあり、そういうお店はしっかり隠し包丁も入れています。
カット基準は7㎜で定めています。
◆プレート
友バラの中で最も表面側にある部位で肉質は固いがランクによっては柔らかく食べられます。
繊維の流れがまっすぐでわかりやすいが柵どり後の肉自体に厚さがなく繊維を断つように焼肉カットすると判面が小さくなります。
肉の天満屋では逆目になってでも斜めに薄くカットししっかり繊維を切るように隠し包丁を入れていて厚さの基準は5㎜程度で定めています。
◆ゲタウラ
繊維が太めでバラの中では比較的固い部位だがプレートに比べれば柔らかい。
脂の乗りも程よいのでランクやカット次第で柔らかく食べられます。
柵取りする際には表面のゴムスジをしっかり除去しましょう。
カット基準は5~6㎜で定めています。
◆中落ち
あばらの骨と骨の間に位置する部位です。
友バラから取れる中落ちは解体する際に剥がすようにとると中落ち自体が細くなり歩留まりが悪くなるため先にヘッドバラを分割してから脂ごと中落ちとるようにすると太い中落ちが取れて歩留まりも良くなります。
カットの基準は1㎝ほどでしっかり隠し包丁を入れるように定めています。
◆フランク
友バラの後ろ側に位置しタテバラからつながる部位です。
つながっているタテバラに比べても赤身が強く脂とのバランスが良い部位で人気部位です。
一番後ろに筋があるところがあるが固い筋ではないためある程度除去するくらいで良いでしょう。
カットの基準は7~8㎜で定めています。
③まとめ
ここまで友バラの詳細や直営店、肉の天満屋のカット基準について記述しましたが
焼肉店それぞれで提供されている『カルビ』や『上カルビ』はこの部位を使わなければいけないといった定めはなく様々です。
あるお店はメニューでカルビと表記しながらも『リブロース』だけでメニュー全体を構成しているところもあります。
今後は直営店『肉の天満屋』ではどのような部位でメニューが構成されているかなども記述していきます。