『国産牛』と『和牛』の違いとは?和牛のライフサイクルと食卓に並ぶまで

日本で流通している牛肉を大きく分類すると『和牛』『国産牛』『輸入牛』に分けられます。
その中でも『国産牛』と『和牛』について詳しく記述していきます。

①『国産牛』とは?

品種や生まれた土地は関係なく、肥育期間の半分以上を日本国内で肥育された交雑種、ホルスタイン種などを総称して『国産牛』といい、海外種で誕生した牛でもその後の日本での肥育期間の方が長ければ『国産牛』となります。
現在流通している国産牛は主に『F1』と呼ばれる『交雑種』がほとんどで、黒毛和種の雄とホルスタイン種の雌との交配により生まれる種のみの名称です。上記の交雑種だけではなく乳用種の『ホルスタイン種』『ジャージー種』も牛乳を生産するために育てられその後、食用の国産牛としても流通しています。




②『和牛』とは?

明治時代以前から日本在来の牛と日本国外の牛が交配してつくられた日本独自の遺伝子を持つ牛です。
日本で『和牛』と表示できる品種は4種類のみ存在しそれが、
『黒毛和種』『赤毛和種』『日本短角牛』『無角和種』の4種類でその品種以外の牛は国内では和牛と表示することはできません。
その4種類の和牛について詳しく記述していきます。

中でも一般的によく聞く流通量の多い品種は『黒毛和種』です。
1918年より日本国内で登録が開始され1944年に品種として固定化されました。
毛色は黒単色で、格付けでチェックされる脂肪交雑、肉の色沢、きめ細かさなどの肉質が非常に優れた品種です。

『赤毛和種』は熊本県で放牧に適する牛として改良した肥後牛と韓国牛から改良された高知系の物があり毛色は黄褐色から赤褐色で強健であり耐熱性にも優れてはいるものの基本は草を食べる牧草肥育の為、脂肪交雑の入り方は少なくヘルシーな赤身肉という印象が強いです。

『無角和種』は山口県の在来和牛をアンガス種によって改良され生まれた品種で日本では中国地方で飼われているのみで毛色は黒単色、特徴は成長(増体速度)がはやく効率が良いといわれる品種ですが黒毛和種に比べると肉質は劣っている傾向にあります。

『日本短角種』は南部牛(昔、物資運搬のため飼われていた牛)と輸入されたショートホーン種を交配して改良された和牛であり、毛色は濃赤褐色で北日本の気候・風土に適合していて肉質は黒毛和種に比べると劣っているが和牛の中では最も大きく育ち手間がかからないため生産地の愛好は強い品種です。

③和牛のライフサイクル

牛はほぼ100%人工授精で妊娠します。
牛の妊娠期間は280日で、1階の分娩で1頭が産まれます。
出生した子牛は8~9ヶ月で290㎏前後に生育され基本的には子牛市場に出荷されセリにかけられます。
その後肥育農家に買い取られて約20か月間肥育し出荷されます。
出荷時の体重は去勢の黒毛和種で約760㎏となります。

ちなみに1㎏の増体で必要な資料は9キロ前後といわれています。

最近では最短24ヶ月で出荷するなど出荷月例を短期化し生産コストを上げる肥育に力を入れた銘柄(のざき牛など)や、反対に32ヶ月など個体を生きたまま熟成させるなどといった、長期肥育を基本とした銘柄(尾崎牛など)も存在し生産者により様々となっています。


その後は食肉センターでと畜され枝肉となりセリに出され食肉卸業者が購入したのちに部位ごとに分割し脱骨していきます。


脱骨された牛肉は小割・整形し焼肉屋さんやスーパーに出荷されカット加工し消費者が購入し食卓に並びます。


今回は大きく肉用牛とはというところを話しましたが、次回は牛肉の格付けに関してや肉質など詳しくお話しします。